絶体絶命都市
2001年 政府が十数年前から手がけていた一つのプロジェクトが完成した。 人工島の建造である。 それは国内の最新の技術が注ぎ込まれた 従来の物をはるかにしのぐ規模のものであった。 建造に採用された新工法は、従来の埋め立てに比べ 深い海域での土地造成を可能とし、またコストが低く 工事期間も短く済むという画期的なものであった。 そのため国内のみならず、各国の人口過密都市からも注目されていた。 政府は人工島建造技術を重要な輸出品目の一つと捉え、 実用に耐えうる信頼性を世界へ向けて実証するべく、 首都機能の移転を決定した。 そのためこの島は「首都島」と呼ばれるようになった。